https://newsdesk.si.edu/photos/hooker-emerald-brooch
キラキラ輝く宝石の王者ダイヤモンドと違い、エメラルドはその奥深い緑色が、存在感のある落ち着いた高貴な輝きを放っています。ちょっぴり大人になった彼女に、ちょっぴり背伸びしたい自分に、エメラルドは最高のプレゼントとなるでしょう。エメラルド選びのポイントは幾つかありますが、産地はどこの国がいいの?と迷っているあなたに、お薦めの産地やそれぞれの産地の特徴を紹介してまいります。
エメラルドはどこで産出されるの?
https://www.liveinternet.ru/users/4184717/post298456539
紀元前から存在する世界最古のエメラルドは、南極を除く6大陸すべてで産出されています。
エメラルドの主な産地
北米 | アメリカ合衆国、カナダ |
南米 | コロンビア、ブラジル |
アジア | インド、中国、カンボジア、アフガニスタン、カザフスタン、パキスタン |
アフリカ | エジプト、エチオピア、マダガスカル、モザンビーク、ナンビア、ナイジェリア、ソマリア、南アフリカ、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ |
ヨーロッパ | オーストリア、ブルガリア、フランス、ドイツ、イタリア、ノルウェー、ロシア、スペイン、スイス、 |
オーストラリア | オーストラリア |
世界中で産出されているエメラルドですが、北米、ヨーロッパ、エジプト、インド、中国、オーストラリア原産のものは低品質で商業的価値はないとされています。宝石を購入するにあたって、品質の悪いものを間違って選ばないためにも、産地の知識はとても重要なポイントですね。
エメラルドの産地と特徴
https://www.javaherlux.com/jewelry-magazine/dish-emerald-unguentarium
数ある原産国の中でも産出量が最も多く、最高品質のエメラルドを産出しているのが南米のコロンビアです。その他に国際的に良質と認められている原産地は、ザンビア、ブラジル、ジンバブエです。買って損はない良質のエメラルドを産出する国をランキング別にピックアップし、それぞれの国の代表的な鉱山とその特徴を見ていきましょう。
1位:コロンビア
産出量が圧倒的に豊富で、世界シェアの半分以上を占め、年によっては95%のシェアに達することもあります。青みのない純粋な緑色が秀逸で、エメラルドを一番美しく見せるエメラルドカットに適した6方柱形の原石が多く産出されるのも特徴の一つです。コロンビアでも最高品質のエメラルドを産出するのが以下の2大鉱山です。
【ムゾー鉱山】
コロンビアで最高級のエメラルドを産出する鉱山です。鉱山の歴史は1564年にムゾーの町で緑色の石を見つけたことから始まります。深く成熟した緑色が特徴で、やや黄味がある柔らかい味わいがあります。ただキズが多く、透明度が低い、色味が悪い、といった原石も多く産出され、貴石として扱われるのは1%にも満たないと言われています。
【チボール鉱山】
コロンビアのエメラルド鉱山は、元々先住民のインディオが採掘していましたが、スペイン人の侵略でスペイン人が採掘権を奪い取り、1537年に最初の鉱山を開いたのがチボール鉱山でした。やや青みが強く透明度の高い鮮やかな緑が特徴です。
【コスクェス鉱山】
ムゾー鉱山から10km離れた場所にあり、政府が管理しているため産出量は抑えられています。淡い緑が特徴で、ムゾー鉱山、チボール鉱山に比べると品質に歴然の差があります。
http://www.johnbetts-fineminerals.com/jhbnyc/mineralmuseum/picshow.php?id=52232
【トラピッチェ・エメラルド】
コロンビアで多く採掘されるマニアの間で人気の特別なエメラルドで、形がサトウキビを搾る農機具の歯車に似ていることから、スペイン語の trapicho/歯車に由来します。
2位:ザンビア
ザンビアでエメラルドが発見されたのは1931年、生産化が始まったのは1967年でミク鉱山が最初です。ザンビア産は原石が6方柱形ではなく、結晶の形が崩れて丸みを帯びたものが多いため、エメラルドカットに加工されることはほどんどなくオーバルカットが施されます。産出量の半数以上はインド、イスラエル、ドイツなどで研磨されています。
ザンビア産は透明度が高く純粋で均一的な緑が特徴です。また内包物が少なく屈折率も小さいため、輝きも少なくコロンビア産より低い評価を得ています。
3位:ブラジル
ブラジルで最初にエメラルドが見つかったのは500年前にポルトガル人が移住してからですが、商品的価値のある原石が見つかったのは1963年です。鉱山によってそれぞれ異なる特色を持ちます。
【サリニンハ鉱山】
1963年バイア州で発見された鉱山で、黄味を帯びた半透明の小さな結晶が揃っているのが特徴です。産出量が少なく135kgほど産出した後、鉱脈が枯渇しています。
http://1st.geocities.jp/gemhall2/gemus-emld-brzl.htm
【カルナイーバ鉱山】
1965年バイア州で発見された鉱山で、エメラルド・ラッシュが起こり大きな鉱山町となりました。20㎜以上の大粒なエメラルドが多く産出されましたが、透明度が低いものがほとんどです。
https://miraimages.photoshelter.com/image/I0000xcSxeeWEPFw
【イタビラ鉱山】
1979年にミナス・ジェライス州で鉱山が発見され、原始的な方法で採掘されています。黄味を帯びた深い緑色が特徴です。
http://gemexplorer.org/archives/minas-gerais-emerald-brazil
【ベルモント鉱山】
機械化が進み設備の整った採掘場で、世界からの需要が高い鉱山です。小粒ながら高品質のものが多いです。
https://www.gia.edu/gia-news-research/belmont-mine-emeralds-journey-mine-to-market
【カポイエラナ鉱山】
1988年に同じくミナス・ジェライス州で発見された、イタビラ鉱山と同じ鉱脈を持っています。コロンビア産に似た良質のものを産出しています。
http://jewellery.org.ua/stones-katalog/mineral-berill.htm
【ピテイラス鉱山】
1998年にイタビラから続く鉱脈帯で発見された鉱山で、良質なエメラルドが産出されています。現在は閉山しています。
https://www.mindat.org/locentry-202499.html
【サンタ・レジーニャ鉱山】
1981年にゴイアス州で発見された鉱山で、1970年~90年代に全盛を極めた採掘場です。原石は小さいながら高いカラットで高品質、透明な結晶が多いのが特徴です。また、キャッツ・アイやスター・エメラルドといった希少な石が採れるのもこの鉱山ならではです。
4位:ジンバブエ
ジンバブエの鉱山は、美しい緑色の良質なエメラルドを産出することで世界的に重要が多い産地です。
【サンダワナ鉱山】
1956年に南東部でエメラルドが発見されヴァルカン鉱山と呼ばれるようになり、1957年にはゼウス鉱山でもエメラルドが見つかりました。後にイギリスの企業が最新設備を用いて大規模な採掘が行い、1993年にサンダワナ鉱業社が鉱山を買取ると、ジンバブエの鉱山は「サンダワナ鉱山」と呼ばれるようになりました。
この鉱山で採れるエメラルドは鮮明な緑色をしており深い均一な色合いが特徴で、「サンダワナ・エメラルド」として知られています。小粒なものが多いですが、稀に発見される大粒のものは大変希少で最高級品とされています。
https://www.wildfishgems.com/inc/sdetail/oil_only_sandawana_emerald_1_96/19994
まとめ
エメラルドにも国や産地によっていろいろな特徴があるようですね。ランキングだけ見ると、「コロンビアのムゾー産」が最高級品の代名詞とも言えますが、専門家によると必ずしも「産地」が品質を決定するとは限らないようです。高品質の稀少なエメラルドが見つかる偶然は、どの産地でも起こりうるのです。とはいえ、高品質のエメラルドが採掘される可能性の高い産地ランキングの情報を参考にして、自分に、大切な人に贈るエメラルドを見極めて慎重に選びたいものですね。
http://www.lotusgemology.com/index.php/library/articles/298-emeralds-from-russia-a-closer-look